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各地の有名な麺・料理・菓子・点心 北京の有名な麺 1)炸醤麺 茹でてから水をくぐらせ、水切りした麺、糸切りにしたキュウリ、インゲン豆、トマト、皮をむいた生ニンニクなどを小鉢、小皿に盛る。そして熱い「炸醤」を白い麺の上にかけ、糸切りの野菜をのせる。熱々の肉味嗜と冷たい麺が口の中でとけ合う。濃と淡が微妙にからみあい絶妙な味である。 炸醤の作り方は次の通りである。中華鍋にたっぷり油を入れ強火で熱する。豚肉(ロースの赤身と尻の部分の脂身、いずれもアラレ切りにしたもの)、みじん切りのニンニク、ネギ、大豆から作った味階、砂糖、スープなどの材料を準備する。煮えたぎった油の中に、まず豚肉を放り込む。鍋の中の豚肉は熱せられて白みがかってくる。すばやく味噌を加える。高温の油の中で味噌がかすかに焦げてゆく。次に弱火にする。酒、砂糖、薬味、スープを入れ、玉杓子でかきまぜながら煮つめる。仕上げに熱した油を加え、鍋から鉢に移す。 2)麻醤麺 炸醤麺とおなじように、冷たい麺と糸切りの野菜をまぜ合わせて食べる。隠し味として2,3滴の酢を落とすと、油くささが抜け、あっさりと食べられる。麻醤の作り方は、ぺ―スト状にすった当たりゴマに、すりつぶしたピ―ナツを混ぜる。これにゴマ油、塩、旨味調味料を入れ、湯ざましの水でゆっくりとまぜ合わせる。 3)大滷麺 干シイタケと干エビのつけ汁でとったスープに、炒めた具材を入れて味付けし、水とカタクリ粉を入れてとろみをつけ、溶いた卵を加える。ドロリとした具入りの"あん"になる。これをゆで立ての麺にたっぷりとかける。具材は、ナマコ、もどしたスルメ、鶏肉、豚の脂身、干しエビ、シイタケ、キクラゲ、黄花、鹿角菜などである。零下20度まで冷えるという北京の冬でも体を暖めてくれる。 山西省の有名な麺 1)刀削麺 コムギ粉500グラムに10分の4の割合で水を加える。かなり硬めにこねて、ねかせる。これを両手で押してこね、直径20センチ、長さ30センチくらいの太いかたまりにまとめる。左手の平にのせ、肩口にあてる。右手の削麺刀で削り取るようにして、沸騰した湯の中へそぎ落としていく。削麺刀は長さ18センチ、幅12センチで、薄い鉄板を三日月のように湾曲させたものである。 2)莜麺 莜麺の原料である莜麦は、山西省の中北部から内モンゴルにかけて生育するオートミール(燕麦)の一種である。ハッタイ粉のような薄茶色の粉である。 まず、熱湯でこねた莜麺の粉をひきちぎり、中国菜刀の上で長さ15センチ、幅5センチほどの薄い帯に引きのばす。これを左の人差指に包帯をまくように、遠心力を利用してクルッとまく。するとタバコを少し太くしたような筒ができ上がり、これを蒸龍の外側にぐるりと並べる。その内側に別な種類の莜麺を置く。その作り方は、熱湯でこねた糕麦の粉を指先大にひきちぎり、2粒手の平にとる。両手をすり合わせ、2本の麺を同時に細くもみ出す。シュルシュルと音をたてながら両手の間から2本の麺が出てくる。両手で細くした莜麺を蒸龍の内側に盛り、一緒に蒸し上げる。食べ方は、日本のザルソバのようにタレにつけて食べる。タレには赤ダイコンとキュウリの糸切り、香菜を炒めたものが薬味としてつく。まず外側の筒状になったものから口ヘ運ぶ。もっちりとして、ねばり強く、"そばがき〃のような弾力性がある。次に麺条のものをタレにつけ、薬味を加えてすする。「龍池飯店」は、莜麺と、キビの粉で作る揚げ饅頭「黄糕」で有名な山西風味の麺店である。 3) 剔尖 別名を揆魚児という。コムギ粉を器の中でかなりやわらかめの糊状にこねて30分くらい寝かせる。少し深目の平皿に移して、手に水をつけピシャピシャ押え表面を平らにする。皿を左手にもち、右手で長さ40センチほどの竹のヘラで端からはねとばしていく。 4) 猫朶 作り方が簡単なので中国各地の家庭でも作られる。作り方の1例として、ムギワラ帽子の切れ端を麺台の上に押しピンで固定する。ドウを麺棒で厚さ5ミリほどにのばす。包丁でほぼ1センチ四角に切りきざむ。くっつかないよう打ち粉をまぶして、1個ずつムギワラ帽子の切れ端の上に乗せ、親指の腹でくるりとひねるように押しのばしていく。するとムギワラの跡目のついた麺ができ上がる。 上海の有名な麺 1)大排骨麺 豚の骨付アバラ肉を中国菜刀でブツ切りにし、さらに一口で食べられる大きさにきざむ。中国鍋の中で充分に熱せられた多めの油の中に肉を放り込む。爆、つまり一瞬にしてカリッと揚げる。次に油を薄くひいた程度に減らして、調味料を加えながら煎り焼きする(煎という)。最後はもう一度シャモジに一杯油を加え鍋に落しぶたをする。ゆで上がった麺を器に入れ、熱いスープを注ぐ。ネギをふりかけ、その上に香油をかける。ジュッと音がして、湯気が立ち昇る。あつあつの肉片をのせ、盛りつける。豚肉が香ばしく香り、鶏のスープに豆みその味としょう油の味が混り合って、しょうゆラーメンのようななつかしい味がする。
2) 陽春麺 清朝末期最大のグルメ西太后が愛し、李白の詩から名づけた麺だと言う。麺は、魚肉、蛋(玉子)で練った白く細い麺でコシをつけるためにかん水を使ったという。スープは鶏湯、火腿湯、それぞれの湯から油をとって絶妙にブレンドしたもの。スープと麺だけで上にネギをまく。西太后はこれを陽春白雪と称し、白い麺を雪に、青いネギを春の息吹きにみたてた。その美味なることまさに宮廷の味であったという。 3) 鶏油青笋 野菜を乱切りにして炒め、葛をからめたものだが、浅緑が美しく、歯ごたえがあり味わいもすばらしい。 楊州の名高い麺料理 1) 鶏絲麺 大きな深皿に麺をゆったりと入れ、小ぶりの青梗菜を薄く切り緑色あざやかに放射状に麺の上にのせる。横には、酒、ショウガ、ネギと一緒にゆでた鶏の胸肉を大きくそいで、幅広くのせる。スープは鶏ガラ、豚骨などからとった毛湯。これにシイタケを入れてダシをとる。このシイタケは具としても使われる。チキンスープの味がする。
南京の名高い麺料理 1)鶏絲麺 南京産の小麦粉にかん水を少し加え、練り上げて作った特注の細い麺に、だしは味の良く出る老鶏だけを、丸ごと水で煮こんで作る。麺の上置きになる鶏絲は、若鶏の胸肉を使う。ふっとうした湯に肉を入れ、ふたたび煮立ったら、文火(とろび)にして七、八分ゆでる。身をマナ板にとり、中華包丁の面でひたひたと叩く。繊維がほぐれてから手で糸状にさく。澄みわたった秋空のような上湯を煮立て、塩と酒で味をつけ、丼に入れる。麺をゆがいて上湯に浮かせ、鶏絲と刻みネギをそえる。その姿は清楚にして、スープは淡そのもの。麺のモチモチした感触と、鶏絲のシコシコした歯ざわりが絶妙である。 2) 牛肉麺 香港で、南京牛肉麺として有名になり、逆輸入されて復活した。濃い醤油味である。鶏絲麺が上方好みなら、牛肉麺はさしずめ江戸好みといえよう。牛は菜牛といい、内モンゴルや東北地方の赤牛である。肉質をやわらかくするために労働をさせない。下モモ肉を使って、酒、ショーガと三時間ほどコトコト煮込む。牛肉だけを食べると、なつかしい大和煮風の味つけである。鶏スープに牛肉の濃厚な味が移る。うっすらと油の波紋が浮く。甘みを含んだ、奥深い味わいが口いっぱいに広がる。 3) 薫魚麺 水の都、蘇州の流れをくむ麺で、青魚という淡水魚を使う。三枚におろし、酒と醤油で下味をつけ、百七十度の油で揚げる。表面がパイ皮のようにパリッとなり、中身はしっとりとやわらかい。これを幅三センチ位に切って袖だたみし、上湯に浮かんだ麺の上に置く。ジューと熱い音がする。醤油の焦げた香りと、サプレーのような脆い青魚の味が上湯に広がる。 福建省の代表的な料理 1)手扒麺 作り方は、生麺を湯に入れてゆがき、湯を切って熱いうちに小分けし、皿にとって平たく形を整え、表面に薄く油を塗る。柔らかくなった麺は、自らの重みとねばりですき間なくくっつき、冷えていくうちに円形の面をつくる。調味料として、ゴマダレの麻醤、唐辛子味噌の辣醤、ニンニクをすりつぶした 小麦で作った甘味噌の甜醤、ピーナッツをべースにした沙茶醤、辛子をといた芥醤の六種類。好みのものをスプーンですくい麺の上にぬりつける。その上に熱い揚げ豆腐や、豚肉、ネギなどをのせる。 2)什錦鍋辺糊 大鍋の底に湯をため、ふたをして沸騰さる。湯が煮あがってくると、豚肉、カキ、シイタケなどの具材を放り込む。大鍋の、湯から上の鉄板の部分に、ぐるぐると数回ていねいに油をひく。油は熱せられて煙を上げる。湯に落ちた油は、ヂリヂリと音をたてる。油をひいた部分に、水でといた米粉の汁を、逆時計回りにさっとかける。鍋の縁に白い輪ができふたをする。およそ10秒ほどで、ふたをとり、特製のヘラで、焼かれた米粉汁を、湯の中にそぎ落とす。この過程を3回くり返す。調味料を入れ、ネギ、ショウガ、タケノコ、金針菜などの野菜を入れてでき上がり。四角の大鉢に盛って出す。什錦とは、いろんな材料を使うこと。カキと豚内からしみ出たスープは薄味である。麺片とでもいうべき糊はスープの中で熱く丸まっていて、柔らかく、のどごしがよい。珍味である。 3)三絲燕絲 三絲、つまりトリ肉、シイタケ、ネギの入った湯菜である。澄み渡ったコクのある清湯スープの中に半透明のワンタン「燕皮」が浮いている。この燕皮は豚肉100%である。作り方は、豚肉のかたまりをまな板の上にのせ、棒でたたいて糊のような状態になるまで、薄くたたきのばす。平たくなった肉片にサツマイモの粉をふりかけ、二つ折りにする。これに少量のかん水を加え、麺棒でのばす。これを何回もくり返すうちに、紙のように薄い皮ができる。これを乾燥させて、ヒラヒラとした半透明の燕皮ができ上がる。 4)什錦湯麺 長崎チャンポンのルーツである。什錦は、「三つ以上のいろいろな材料を使う」の意味である。深目の鉢に豚骨を長時間煮込んだ白湯スープをひき、白くゆで上げた麺を入れる。具として、色どりも鮮やかに、トリ肉やエビ、シイタケやニンジン、サヤエンドウを添える。 5)猪脚麺 スープはしょう油味である。太目のうどんが鶏スープの中に深々と沈み、キヌサヤ、トマト、タケノコの間に輪切りした豚足が数個、黒々と浮いている。豚足はしょう油で長時間煮込まれており、とろりと口の中でとける。 アモイの名高い麺料理 炒麺線: 日本の皿うどんのルーツである。麺線とは、ソーメンのように細い手延べの麺である。小麦粉を水でねったドウを、手で延ばして細くし、横に寝かせて乾燥させる。これを油で揚げるので「炒面線」となる。まず、大鍋になみなみと油をそそぎ、炎を一番強い武火にする。油が熱くなったところで、麺線の帯をとき、油の中へ投げ入れる。ジュッと音がして、白い湯気が上がる。2,30秒もすると、白い麺が枯れた松葉のような色に揚がる。すぐさま網ですくい上げる。同じ鍋で湯を沸かし、沸騰したところへ油で揚げた麺線を入れる。これを網ですくい上げ、水気を切る。空にした鍋を熱したあと薄く油をしく。エビ、イカ、豚肉、シイタケ、人参、タケノコなどの具材を放り込み、調味料、ダシを入れて軽く炒める。具材をシャモジで鍋の片側に押しやり、空いた片側へ湯通しした麺線を入れる。つまり、一ツ鍋で具と麺を混じり合うことなく同時に炒め上げる。麺を浅い大皿に移し、その上に具を盛る。仕上げは、干しエビを揚げてから細かくひき砕いた粉をふりかける。香ばしさを出すためである。 四川の名高い麺料理 1)担担麺 元米ふたのついた桶に、麺、碗、箸、タレをセットして天びん棒で担ぎ、大声で売り歩いたのでこの名がある。碗は小さく、スープはつかないで、タレは麺の下にかくれている。具は細かくきざんだ豚肉を甜醤や酒などで炒めたもので、麺とよくかきまぜて、あえそば風に食べる。タレには店独自の秘伝があるといわれ、特別に選んだ醤油、ラー油、粉山淑、酢、ゴマ油、それに当たりゴマやすりつぶしたニンニク、ネギのみじん切りなどをまぜて作る。そして麻辣を微妙なバランスで加える。 2) 金絲細麺 特級小麦粉を卵だけで練って作る黄色い極細の麺。色どりに緑色のエンドウの若芽がリボンのように置かれている。鶏をゆっくり煮てとった清湯で、麺は日本のソーメンのようにツルツルとした食感である。 3) 甜水麺 太いうどん風の麺をブツ切りにして、辣油に醤油や白ザラメ、ゴマ油、つぶしたニンニク、ネギのみじん切りなどで作った甜くて幸い特製のタレをまぶして食べる。麺は辣油で赤くなりヒリヒリと舌にくる。 4) 海螺麺 マカロニのように、麺を巻貝の形に作り、スープに浮かべる。それに、シイタケ、ナマコ、貝柱、タケノコなどの具をのせる。鶏油がスープ一面に浮いているが、あっさりした塩味の一口湯麺である。 5) 豆花麺 豆花とは四川の方言で、色白く柔らかい自家製豆腐のこと。豆腐のあんかけ麺である。麺は平たく細い。真っ白で涼しそうであるが箸をつけると下から真つ赤な辣油が現われる。いり大豆、花椒、醤油を丼に入れ、ゆがいた麺をのせ、豆腐の煮たのをかけ、和えて食べる。幸味があり、大豆の芳しい香りがする。 西安の名高い麺料理 嫂子麺: 材料は豆腐、青ネギ、コンブ、高野豆腐に似た豆腐干、豆腐を薄く押して細く切った豆腐細皮など。その他にサイノメに切った豚の腹肉を、銀 菜とキクラゲで炒めたもの。まず鉄鍋で豆腐干を除いた最初の材料を炒める。醤油で味つけし、豚肉の炒めものを入れて混ぜ合わせる。炒め上がるといったん大鉢にとる。同じ鍋に湯を注ぎ、豆腐干を入れ、塩と化学調味料で味をととのえてスープを作る。煮たってくると先ほどの炒めた具材を入れ、ショウガ、ネギ、ニラの薬味と、菱形に切った卵の薄焼きを加えて色どりをそえる。最後に、ゆで上がった麺を鉢に移し、具材の入ったスープをかける。酢、醤油、ラー油、塩の入った器をともに置く。 蘭州の名高い麺料理 蘭州牛肉麺: 具には、サイノメ切りにした牛肉、ニラ、香菜、大根の薄切りがのっている。ラー油をたらして食べる。麺の種類は五種類。麺にコシはあるが、湯は薄味である。日本のラーメンの味に近い。 天津の有名な菓子 天津大麻花: 独特な伝統調理法と、洗練された技術によって、甘味があり、薫り高く、長く保存できる特微を作り出しました。国内外で絶賛され、津門三大食品に数えられました。アジア大平洋地域博覧会では金賞を獲得し、全国初の名食品認定会では「中華名菓子」に選ばれました。
1)千層糕:菱形をした、厚さ三センチほどのケーキの中に阿層もの薄い皮が重ねられている。口の中でもろくサクサクとくずれる。フランスのパイ菓子よりはるかに高級感がある。 2) 翡翠焼売:薄い皮を通して緑の野菜を細くたたいて作った餡が、ヒスイのように透き通って見える。可憐な海中のイソギンチャクのような形をしている。 3) 四喜餃子:赤緑黄黒の四色の花片が咲き誇った形をしている。赤は細く刻んだハム、緑は野菜を刻んだもの、黄はゆで卵の黄身、黒はシイタケで表現されている。 |
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