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伝統的な料理 薬膳 満漢全席 唐菜 孔府宴 料理の古典「随園食単」 薬膳 食事に漢方をとり入れた「薬膳」は注目されており、四川省の成都は薬膳のふるさとである。成都の同仁堂は、漢方薬局と料理店が一体となり、薬膳を完成させた店である。同仁堂のメニューの一部: 1)霊芝長寿麺 霊芝はサルノコシカケで、これを粉末にし、他の漢方薬と混ぜて煮る。その煮汁で小麦粉を練り、麺を作る。スープは清湯に霊芝の汁である。具材には干シイタケ、干エビ、ネギ、細かく刻んだ霊芝をのせる。効能は、精神安定、健脳、肺、腎臓の強化である。味は塩分を抑えた超薄味なので健康な人にはややもの足りない。 2)魔芋健身麺 小麦粉に魔芋(コンニャク)の粉を混ぜ、野菜の煮汁で練り、麺を打つ。具は緑色の野菜だけである。緑色をした茶ソバのような麺である。麺に風味はあるが、スープは無味に近い。喉の乾きを治し、血圧を下げ、糖と脂肪をとり、便秘に効果がある。 3)玄宗鹿腎長亀湯 鹿の精とスッポンを煮込んだもので、16歳の楊貴妃を愛寵した唐の皇帝玄宗が飲んだといういわくつきのスープである。 満漢全席 満漢全席は、清朝乾隆帝の時代に完成した中国の食の集大成。満民族の「満席」と漢民族の「漢席」から生まれ、3日間かけておよそ200種余りの料理を賞味する豪華な宮廷料理。 唐菜(古都長安の料理) 唐菜で一番自慢の料理は「駝蹄美」、ラクダの足のスープと言われる。ラクダの足を湯で何十回も洗う。ちょうどフカヒレやナマコのようなゼラチン質の部分を桂皮、花茶などの香辛料を使ってじっくり煮込んだものである。スープには香菜、ショウガネギがちらしてある。舌にピリピリとくる刺激的な昧づけである。ゼラチン質の歯ざわりが楽しいコクのあるスープである。 孔府宴 孔府で行われる宴席のことで、今なお伝統を受け継ぎ観光客も賞味できるようになっている。料理の奪級別では、御宴という宴席が最高で32皿の料理と8皿のお菓子・果物が添えられる。封建時代の君臣の等級観念が思いだされる。喜宴はおめでたい婚礼祝いの形式なので,室内の飾り付けはもちろん、食べ物にも縁起ものを取り揃える。テーブルにつくと、小皿に盛った、なつめ・落花生・栗の3種類のおつまみをすすめられる。なつめの読み方はzaoだから「早」に通じる。落花生は花生huasheng,栗はliで発音は「立」と同じである。つまり「早」く良い子を「生」んで円満な家庭を樹「立」するようにとの願いがこめられている。言葉の音(おん)になぞらえて、新婚の2人へはなむけとする趣向である。孔府宴においても忠・孝・仁・愛といった孝悌思想が反映されているようである。 「随園食単」(料理の古典) 美食家でもあった袁枚(清代中期の人。1715~1797)が中国各地の美味珍味を極め、それを記録した食単(メニュー)である。袁枚は随園先生とも言われ南京の街はずれ、小倉山に広大な居宅「随園」をいとなみ、詩文を楽しみ知人を招いては詩酒の宴を開いた。孔子を慕う彼は、誰かの家でごちそうになると、必ず自分の料理人をその家の台所につかわして学ばせた。40年間そのようにして美味の製法をことごとく記録した。随園食単には5つの麺料理が記録されているが、そのうち脆鳝麺と素麺の料理方法である: 脆鳝麺――食単には単に鳝麺と書かれ、鳝魚(たうなぎ)を煮込み、麺といっしょに煮立てたものと書かれている。丸い深皿に麺を矩形にたばね、その上に高温の油でカリカリに揚げたたうなぎがのっている。細く切ったたうなぎに砂糖と醤油で下味をつけ、揚げてあるので、ほんのり甘く、砂糖の焦げたカルメラの香りが、たうなぎのクセを消している。カリッとたうなぎをかみ、麺ののどごしを味わう。不思議な風味である。
素麺――そうめんではなく精進物の麺である。前の日に蘑菇を煮出してその煮汁を澄ませておく。シイタケ・タケノコ、マツシュルームの薄切りを油で妙め、シイタケのつけ汁を加えて煮込み、砂糖と欝油で味つけする。色は少し黒みを帯び、味はあっさりしているがコクがある。 |
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