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京劇ものしりメモ
誕生 歴史 役柄 隈取り 四功五法 衣装 身振り・小道具
京劇の歴史 京劇の歴史は百五、六十年のみで、古典演劇としては、むしろ若い方に属している。しかし、京劇の武戯(立回り)のルーツは、秦、漢の時代の「百戯」に遡り、また滑稽・風刺劇の原形は唐代の「参軍戯」に見出されるともいわれる。京劇が生まれる前、中国の演劇史上には、二度に渡る大きな変化の時期があった。 京劇の舞台 京劇を含め、中国の伝統演劇は"写意〃の芸術といわれている。つまり、本来、中国絵画の究極の技法ともいうべきもので、表面的な形式や枝葉末節の細かい巧みさを求めずに精神の表現に重きを置き、全体のイメージを描き出そうとするものです。京劇の舞台のあらゆる情景は、歌とセリフとしぐさで自由自在に設定され、裸に近い舞台で俳優は演技だけで舞台にないものをあたかもあるように見せ、また目分の存在感のみで観客をひきつけます。この点、わが国の能舞台を連想させるといえます。 役柄 京劇や昆劇の俳優は、発声法の関係上、一生、同じ役柄を演じ続けていく。 ■男役 中年から老年までの主人公の男役。「立役」に当たり長い髯をつける。歌中心、しぐさ中心、立ち回り中心の役に分かれる。老生の一種に顔を赤く塗った紅生があるが、三国志の関羽に代表される忠勇の英雄豪傑の役。小生は少年や二枚目の好青年、貴公子役。髯はなく女性的な細い声で歌う。扇子を持って登場する風流な青年役の扇子生、頭に雉の尾羽根の飾りをつけ、文武両道にすぐれた人物あるいは武将役の尾生、壮大な志を持ちながら現在は恵まれぬ境遇で、ボロを着て登場する窮生(苦生)などのほか、扮装に重点を置く文小生や立ち回りを主とする武小生などに分かれる。 立ち回り役で髯をつけているものといないものがある。長い鎧の衣装を着け、旗竿を背負う武将役と、軽装で武芸者や孫悟空の猿などに扮する役に分かれる。 隈取りをするので花瞼ともいう。正浄は大花瞼ともいわれ、大臣や宰相の悪役だが、必ずしも悪人ともかぎらず、エネルギーの激しい強い役。銅でつくったハンマーのような武器を振り回すので銅錘とも呼ばれ歌を主とする。副浄は架子花瞼とも呼ばれ、賊将や悪徒、妖怪などを演ずる補佐役だが、剛直さと滑稽味、あるいは恰好よさをあわせ持っている。隈取りで白く塗るのは悪役で、黒く塗るのは暴れん坊である。しぐさ中心と立ち回り中心に分かれる。 道化役。白い四角い豆腐のような形を目と鼻の間に描く。三枚目のほか、ずるがしこく卑劣な役もある。 ■女役 青衣とも呼ばれるのは黒(青は古典語で黒の意)い衣装(褶子)をつけているから。若い女性から中年まで。「立女形」といったところ。淑女、貞女、烈女、良家の子女、若夫人型があり、歌に重点を置く。 花旦の副の役柄。かわいい乙女役。 天真燗漫で活発な娘役、あばずれ女、おきゃんな女、伝法型の女、色気のある女など。しぐさ、セリフを主とする。 立ち回りの女形。 立ち回り役だが、武旦よりややゆるやか。 女のふけ役。 三枚目あるいは悪役の女形。女性の丑。 顔に塗る色 臉譜(隈取り)は唐代の楽舞の「代面」に起源するといわれる。紅生と浄と丑の役柄の俳優が顔に描く。用いている色はそれぞれの性格を象徴している。とくに浄の役者は坊主頭にして額の上まで塗りつぶし、顔を大きく見せる。 赤ー勇気、忠義、中正、短気 黄ー勇猛、暴虐、猛烈、才気 白ー邪心、狡猾、陰険、陰謀 黒ー剛直、武勇、愚直、粗野 紫ー赤と同様だが忠誠、温和など 青ー凶暴、邪悪、陰の英雄 緑ー青よりさらに頑強、凶暴、妖怪 金銀ー神仏関係 四功五法 京劇の訓練内容は「四功五法」といわれている。四功は唱(歌)・做(しぐさ)・念(めりはりのきいたセリフ)・打(立ち回り)です。唱は京劇の中心となるものだが、念も難しいものとされ重要視されている。做は、舞踊やパントマイムをも含めて演技全体のことをいう。打は、素手あるいは槍や刀や棒などを用いた立ち回りとトンボ返りの二つを指している。激しい動きがクライマックスに達したとき、伴奏のドラがその瞬間をとらえ、双方がピタリと静止し、彫像のように凝結する一瞬のことを「亮相」と呼び、最高の見せ場になっている。クローズアッブの効果を持ち、歌舞伎の「見得」にも通じる演技術である。五法はしぐさの手法・眼法・身法・歩法の四つに発声の口法を加えたものである。手法は手や指の織細な動かし方、眼法は眼力や目線の使い方、身法は長い袖の美しい扱い方、白髯の扱い方など、歩法は足腰の美しい動かし方などである。 衣装 袖口につけられた三十センチくらいの白い絹。明代の套袖(腕カバー)を誇張したもの。振ると波や水紋に似ているので水袖と名付けられた。身分、性格、さまざまの感情が豊かに表現され、舞踊の美しさを強調する。また、これで楽隊の指揮者に合図を送り、伴奏のきっかけなどにも使われる。 皇帝や高官、貴婦人が着るガウンのような、ゆったりとして貫禄のある衣装。首が丸く襟が大きく、水袖がつき金銀や彩色の糸で龍や花、鳳凰などが縫いとられている。皇帝は黄、王や太子は橙色、老臣は白、忠臣や正直な人物は赤または緑、狡滑な人物は黒。男ものはくるぶしまでの長さがあるが、女ものは膝までで、やや短い。 鎧に形どった衣装で、武将が着用する。無地の繻子に金色やとりどりの色糸で鱗形の縫いとりがしてある。これを着て動くだけでも特殊な技巧が要求される。背中に靠旗と呼ばれる三角の旗を背負うのは将軍役で、靠旗は将軍の率いる軍勢を象徴し、一本が一軍団に相当する。 文人が身につける。形式は龍袍と同じ。胸と背に四角に刺繍したアップリケのような布を当てる。文官は鳥類、武官は獣類の飾りで、また紫は宰相、赤は巡按、青は知事というように官位を表わしている。 帝王や宰相、将軍、豪紳の略装、平服。花模様や、寿、龍、鳳、鹿、鶴の総刺繍で埋め尽くされている。 平民の平服で、生、旦、浄、丑まで京劇で最も多く使われる舞台着。太い襟があり、脇の下でとめるから着付け上がりは和服と似ている。男女とも模様入りの花褶子と無地の素褶子とがあり、さらに役柄によって色が分かれている。中でも黒は極貧を表すが、この人物は結局出世するので、富貴衣ともいう。 藍の布で作った前ボタン式の短かい上着。大衆やボーイが着る。 軽快で、きりっとしまって脇でとめる上着とズボンの組み合わせ。英雄着ともいう。 袖先が筒になり、すそが四枚に分かれている。文武両道に使われる。 首が丸く前ボタン式で龍や水紋の刺繍があり兵士が着ける。
身振り・小道具 自分の長いひげを吹くことで怒り、逆上を表し、両手を添えてなで上げるようにすると悠然とした気分、ひきちぎるときは激怒を表す。 房のついた馬の鞭を振るっているときは乗馬していることを表わす。下馬するときは鞭を下ろし、馬をつないだ後は鞭を持たない。 これを持って舟をこぐしぐさをすることで、目の前に舟があり、波に揺られているような感じを出す。 僧あるいは尼僧。 白い旗に浪という字が書いてあるのは波、魚の絵が描かれているのは河や湖のシンボルとなる。車の形か、車という字が書いてあると車に乗ることになり、雲の形になっているのは天上界、雲上で仙人が乗る雲を示す。「令」と書かれていれば指揮権の象徴となり、背中に三角の旗をさした衣装を着ているのは大軍を率いている武将で、この旗は一本が一個軍団を表わす。風の吹く場面には道具方が登場して黒い旗を振る。 主に雉の羽根だが、孔雀の羽根を用いることもある。これをくわえると、怒りのやり場がない気持を表す。女性がハンカチをかむのに似ている。羽根を頭の上に立てるようにして回すと恐怖、いら立ちの感情になり、さっと振ると凛々しさを表す。 矢形の符は「お墨付き」「命令書」を表す。 板に「正要拿?」と書けば逮捕状になる。 雷に男女の神があり、女の神は鏡を持ち、男の神は鎚を持つ。 |
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