河北梆子劇は河北省の中国伝統演劇で、清朝康煕-乾隆年間に伝わってきた山西梯子と、河北にもともとあった伝統劇-京腔(つまり河北高腔)-が結合して、18世紀末～19世紀中頃に形成され、中国北方の代表的演劇に成長した。
なかでも四川省出身の名優魏長生が1779年に北京の宮廷や、紫禁城の門前にあった劇場で公演したが、余りの人気に風俗を乱すものとして、1785年禁令が下り北京から追放された。しかし1791年再び北京の地を踏むことが許され、梆子の芝居はさらに繁栄の一途をたどった。
清朝末期には最盛期を迎え、河北、東北、内モンゴル、山東、河南等諸地域に、130余りに及ぶ河北梆子の劇団が組まれ、中国南部の上海、南京にも専門劇団があった。深い伝統と鮮明な特色、独特な芸術性を備え、中国の他の伝統演劇にはみられない基本唱腔(人声による唱の節、男女同高音で歌う)が100余りあり、演目数も多く、音楽も水飴のような透明で甘い音色の胡弓・板胡と櫛子(なつめの木で作った拍子木など)を用い、表現豊かでエキサイティングなリズム感がある。現在、梆子劇団は河北省だけで38劇団あり、3000人の劇団員が活動している。

河北省梆子劇院――

同院は、中国文化の母胎といわれる河北省の首都石家荘で、1959年設立され、初代の院長は、著名な俳優荀慧生(もと白牡丹といわれた河北梆子の役者で後に京劇の名女方となる。梅蘭芳、尚小雲、程硯秋とともに四大名旦と呼ばれた)、副院長には李桂春が就任した。創設以来厳しい訓練と公演活動を通して、優秀な団員を養成、現在310名の団員を擁している。また優れた伝統演目、新編歴史劇などを継承、創作を行ってきている。

作品――鍾馗さま　　 　劇場用パンフ　1　 2