海南省 海南島は楕円形の地形で東西に285キロ、南北に158キロの椰子とゴムにおおわれた熱帯圏の島である。地理的には南海とトンキン湾の間に位置し海岸線は1700キロあまりで九州より一回り小さい。総人口は615万人で先住民族のリー、ミャオ、チワンやカイ族(合計で約95万人)が含まれる。海南島は歴代王朝が,逆臣,謀反の徒や罪人を送り込む流刑の島であり、新中国になって,建国の初期は反革命分子を教育する労働改造の場にあてられた。 1988年4月13日、海南島は広東省の管轄から離れ独立が決まり,中国で30番目の省に昇格した。同時に、中国最大の経済特別区に指定された。行政的には,南海諸島の西沙・中沙・南沙の各群島を管理下に収め,中国の戦略防衛地域としても重要な地位を占める。島の2大都市である北の海口と南の三亜を結ぶ幹線道路は、東・西・中央の3本がある。島の名勝のひとつ“天涯海角"(地の果ての岬)は,三亜市から西へ24キロの海辺である。地下資源は豊富で、鉄鉱石の埋蔵量は3.37億トンでその他チタン、コバルト、石英が多く埋蔵している。 海口市から車で六時間、南部の三亜まで足を伸ばすと、一帯はどこまでも続く白い砂浜とライトブルーの海。外資などによるリゾート開発に期待がもたれる。しかしインフラ(特に電力と水)の不備により海外からの投資が盛り上がっていない。停電や給水制限は日常茶飯事なのだ。街はずれに使い古しの機関車と客車が十数台、置いたままになっている。よく見ると煙突からは黒煙がモクモクと上がっている。地元の人の話によると、機関車のタービンを利用して発電している、とのこと。世にも珍しい「列車発電所」である。能力一万キロワットもあり電力不足に大いに役立っているとか。 台湾と比べると、総面積は台湾の方が大きいが、耕地面積は海南島が三倍も多い。野生動植物の品種は海南島が2倍で、水産資源も台湾より110種も多い。天然ガスの確定埋蔵量は台湾の三倍。石油はまだ不確かだが、台湾をはるかに上回ると言われる。しかし、海南島のGNPは台湾の18分の1しかなく、輸出額では台湾のざっと千分の一である。多くの工場では、自家発電を行っている。この他、港湾、道路、鉄道、飛行場など設備は不十分ではあるが、海南島に与えられた自主権は本土の人たちには魅力的である。 |
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