中国における鳥インフルエンザの発生状況
〜鳥にはむやみに近寄らないで下さい!〜

<新情報>
 人への感染が、2月末福建省、3月末安徽省に続き、5月にも福建省で確認されました。
 インドネシアでは、今年1月以降に22例(うち19例死亡)の感染例が確認されており、収束傾向にあったベトナムでも、ハノイ近郊にて1年半振りに人感染が確認されました。引き続きご注意ください。

<全文>
 中国各地で鳥インフルエンザが発生しており、中国政府は、鳥インフルエンザの鳥から人への感染を確認、死者の発生を公表しています。人から人への感染はまだ確認されていませんが、十分にご注意下さい。
 在留邦人の皆様におかれては、正しい情報をこまめに確認し、日常生活上で可能な範囲の予防をして頂くようお願いします。

1.鳥への感染状況(中国政府発表)
 中国各地で広範囲にわたって次の通り、鳥インフルエンザ(H5N1型)の発生が確認されています。

 遼寧省(錦州市、阜新市、黒山県)、湖北省(京山県、孝感市、石首市)、湖南省(湘潭県、永州市、長沙市、桃江県)、安徽省(准南市、天長市、休寧県、潁上県)、新疆自治区(澤普県、ウルムチ市、和田市、和田県、米泉市、トルファン市、鄯善県、新源県)、山西省(孝義市、陽泉市、長子県)、内蒙古自治区(フフホト市、包頭市、ダフール族自治旗、ジャラントン市)、寧夏自治区(銀川市)、雲南省(礎雄市)、江西省(遂川県)、四川省(大竹県)、貴州省(貴陽市)、チベット自治区(ラサ市、那曲地区)、青海省(剛察県、玉樹県、果洛蔵族自治州) 、香港、福建省(建オウ県)

2.人への感染状況(中国政府発表:25例、死亡者16例)

2003年
・11月、1例(北京市、死亡1例)
※当初SARSと考えられていたこともあり、感染源は不明、2006年8月発表

2005年
・11月16日、2例(湖南省湘潭県1例、安徽省安慶市1例、うち安徽省の事例は死亡)
・11月26日、1例(安徽省休寧県、死亡)
・12月6日、1例(広西自治区資源県、死亡)
・12月8日、1例(遼寧省黒山県)
・12月15日、1例(江西省遂川県、死亡)
・12月30日、1例(福建省三明市、死亡)

2006年
・1月10日、1例(湖南省桂陽県)
・1月18日、1例(四川省簡陽市、死亡)
・1月23日、1例(四川省成都市、死亡)
・2月8日、1例(福建省ショウ浦県)
・2月10日、1例(湖南省綏寧県、死亡)
・2月25日、2例(浙江省安吉県1例、安徽省潁上県1例、うち浙江省安吉県の事例は死亡)
・3月2日、1例(広東省広州市、死亡)
・3月21日、1例(上海市、死亡)
・4月18日、1例(湖北省武漢市、死亡)
・4月27日、1例(四川省遂川市)
・6月15日、1例(広東省深圳市)
・7月12日、1例(新疆自治区吉木薩爾県、死亡)

2007年
・1月9日、1例(安徽省屯溪県(黄山))
・2月28日、1例(福建省建オウ県(内陸北部))
・3月28日、1例(安徽省蚌埠市、死亡)
・5月26日、1例(福建省南安市、死亡)

3.日常生活上のご注意
 中国に滞在・旅行される方におかれては、日常生活上次のようなご注意をお願いします。
(1)石けんでの手洗い、うがいなど通常の感染症予防対策を励行すること。
(2)生きた鳥に近寄らない、できるだけ飼育しない、死んでいる野鳥などに触れないこと。
(3)ウィルスは加熱(70度で5分間)により死滅しますが、冷凍では死滅しないので調理時は十分な加熱をし、卵や調理道具は十分洗浄すること。
(4)できるだけ発生地域への旅行は控え、旅行する場合は特に外務省海外安全ホームページ、感染症情報等を確認すること。

4.鳥インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザ)とは
 人のインフルエンザとは別の鳥類のインフルエンザによる感染症のうち、感染した鳥の致死率の高い感染症です。鶏、鴨、七面鳥、うずら等が感染し、神経症状、呼吸器症状、消化器症状を呈します。
 鳥から人に感染した鳥インフルエンザの症状としては、これまでの事例では、例年流行する一般的なインフルエンザと同様の症状(高熱、全身の痛み、咳)に加え、60%以上の感染者に下痢が認められ、また、結膜炎、呼吸器症状や、多臓器不全に至る重症なものまで様々な症状が表れ、死亡することもあります。
 鳥インフルエンザは、人から人へ感染する新型インフルエンザウィルスに変異することが懸念されており、変異した場合、その症状の程度は、現在のところ予測が困難です。

5.インフルエンザを疑う症状が出たら
 早期に外国人が多く利用する信頼できる病院で受診して下さい。ちなみに、北京市では「佑安病院(豊台区)」「地壇病院(東城区)」「胸科病院(海淀区)」「小湯山病院(昌平区)」が鳥及び新型インフルエンザに係る指定病院となっており、必要に応じて、初めに受診した病院から転送されることとなっています。

6.抗インフルエンザウィルス薬「タミフル」
 インフルエンザの治療に使われている処方薬タミフルは、鳥インフルエンザウィルスにも有効ではないかと考えられており、医療機関で医師の診断により処方されます。海外で鳥インフルエンザに感染した疑いがある場合も、まずは至急病院を受診し、医師の判断により処方されることが原則です。
 また、10歳以上の未成年患者のタミフル服用後における異常行動について、政府発表がなされています。http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/03/h0320-1.html
 なお、もし人から人への感染が見られるようになれば(その場合、WHOは新たな流行段階に入ったことを宣言します)、SARS流行時に使われたような気密性の高いマスク(N95など)が予防のために必要となります。N95マスクは、中国でも大型薬店等(北京市では王府井の大型薬店)で市販されており、日本では1枚2,000円程度で購入できます。

7.食糧等の備蓄を
 鳥インフルエンザ流行に備え、次のような備蓄が勧められます。なお、もし人から人への感染が見られるようになれば(その場合、WHOは新たな流行段階に入り、現在のフェーズ3の状態がフェーズ4になった旨宣言します)、SARS流行時に使われたような気密性の高いマスク(N95など)が予防のために必要となります。

・食糧品(調理不要のもの)
・飲用水、生活用水
・高気密性のN95マスク(北京市では王府井の大型薬店で市販) 、消毒用品 など

8.鳥インフルエンザ防疫措置
(1)中国
 2005年11月末から各国際空港において、出入国者に対する「健康申告カード」に家禽、鳥類、鳥インフルエンザ患者又は感染の疑いがある者との密接接触の有無欄を追加。
(2)日本
 2005年11月末から各国際空港の検疫ブースで、中国を含む鳥インフルエンザ発生国からの入国者に対する「靴底消毒」を実施。

 邦人の皆様におかれましては、当館メールマガジンに登録するなどして、最新の情報に留意して行動され、鳥インフルエンザ感染への危険を避けるようにしてください。また、鳥インフルエンザに関する詳しい情報は下記リンク等を参照してください。

外務省海外安全ホームページ/感染症関連情報
(http://www.pubanzen.mofa.go.jp/sars/sars.html)
外務省外交政策/鳥及び新型インフルエンザ
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kansen/influenza/index.html)
WH0(http://www.who.int/csr/don/en/)
厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html)
国立感染症研究所(http://www.nih.go.jp/niid/index.html)

(参考)全国各地の鳥インフルエンザ指定病院(地方衛生庁又は各報道発表)

北京市:佑安病院、地壇病院、胸科病院、小湯山病院
天津市:海河病院
吉林省:長春市伝染病病院、吉林市伝染病病院、延辺大学附属病院、四平市伝染病病院、通化市伝染病病院、白城市伝染病病院、遼源市第二病院、松原市中心病院、白山市中心病院
黒龍江省:黒龍江省第四病院

上海市:上海市公共衛生中心
河南省:鄭州大学第一附属病院、河南省人民病院、中医学院大学第一附属病院、鄭州市第五人民病院、開封市伝染病院、洛陽市中心病院、新故市伝染病病院、安陽市第五人民病院、平頂山媒業一鉱病院、許昌市中心病院、焦作市人民病院、三門峡市人民病院、鶴壁市伝染病院、累河市中心病院、僕陽市中心病院、中原油田総病院、南陽市第六人民病院、商丘市第一人民病院、駐馬店市中心病院、周口市中心病院、信陽市中心病院、済源市人民病院
安徽省:合肥市伝染病院
福建省:福州市肺科病院、廈門市第二病院海倉分院
山東省:済南市児童病院、済南市伝染病病院、済南市中心病院、青島市伝染病病院、烟台市伝染病病院、ズ博市伝染病病院、臨沂市胸科病院、莱蕪市人民病院、聊城市腫瘤予防治療院、維坊市人民病院、泰安市中心病院、日照市人民病院、勝利石油管理局勝利病院、棗庄市鉱業集団東郊病院、徳州市人民病院、浜州市第二人民病院、フ沢市伝染病病院、威海市中央病院、済寧市伝染病病院
広東省:広東省人民病院、広州医学院第一付属病院内呼吸病研究所、広州市第八人民病院、深セン市東湖病院、仏山市第一人民病院、中山市第一人民病院、珠海市人民病院、東莞市人民病院、恵州市中心病院、汕頭市中心病院
広西壮族自治区:南寧市第四人民病院、桂林市第三人民病院
海南省:海南省農墾総局病院、三亜農墾病院
新彊ウィグル自治区:ウルムチ北郊病院

            (在中華人民共和国日本国大使館より)  (07.06.8)